こんにちは。
皆さんは、「一校一国運動」というものをご存知ですか?
オリンピック開催地の学校が応援する国や地域を決め、文化や言葉を学んだり、
その国の子どもたちや選手らと交流したりして異文化への理解を深める活動を言います。
1994年広島アジア大会で行われた公民館単位で応援する「一館一国・地域の応援事業」をモデルに、
98年長野冬季五輪から始まりました。草の根レベルの交流として国際オリンピック委員会からも高い評価を受け、
その後のオリンピックでも引き継がれ、2020年の東京オリンピックでも一つのレガシーとして期待されています。
投稿者である私も当時中学生として「一校一国運動」に生徒会として関わりました。
名前は知っているけど、他は何も知らないその国について、調べたり、手紙を送ったりと、
インターネットやSNSが子どもの間まで浸透していなかった当時は試行錯誤をしながら進めていたことを思い出します。
小さな田舎の子どもが世界を意識した瞬間だったでしょうし、とても為になり楽しかったことを覚えています。
そんな「一校一国運動」を先導して進めてきているのが、『長野国際親善クラブ』です。
(参考URL http://www.1koku.com/)
当時、長野市内75校で始まった運動は、現在10校に満たないものとなり、
「一時的な運動であった。」という評価になりかねない状況の中、
現状認識をし、「今後どのような活動が必要なのか?運動をどのように進めていくべきか?」について、
長野市などの自治体とともに取り組んでいます。
私も当時子どもとして関わった「一校一国運動」ですが、
やってみて大変だったことはありますが嫌な気持になったことは無かったように思います。
(教職員の方々や関係者など大人の皆さんは当時大変なご苦労をされていたかもしれませんが。。。)
何より現在より簡単に情報を得ることは出来ませんでしたので、
自分なりには世界が広がった気がしました。
私の友人でも、この活動をきっかけに外国語に興味を持った者、
難民問題など世界で起きている課題に興味を持った者、
食や住居、衣装、芸能などに興味を持った者、
さまざまでしたが、この活動が子どもたちに将来の〝何か〟を得るきっかけになったことは間違いないと思います。
【投稿者が感じた「一校一国運動」で良かった点】
①視野が広がったとともに、最初は興味のない国だとしても、調べる方法から自分たちで調べ、情報を集めていくことで、その国のことだけでなく、教室での座学以外の方法を経験できたこと。
②「日本人」としての感覚ではなく、「その国」の感覚で世界を捉えようとする必要性を学べたこと。
③世界から「日本」という国はどう見られているんだろう?いうことを意識できたこと。
③オリンピック選手や通訳などの大人と話す経験の中で、子供ながらに相手から情報を得るだけでなく、相手に日本の情報も与えなければいけないんだと感じ取れたこと。
⑤入村式や聖火リレーなど、通常経験できないことを経験できたこと。
私にとっては良い経験だったと思いますが、
時代は流れて、インターネットやSNSの発達により、
容易に情報を得やすくなった今日で、
「一校一国運動」という国際学習、国際交流の意義に疑問符がついたり、
さまざまな課題が散見されているようです。
長野国際親善クラブでは、現状の課題を以下のように記しています。
(参照 http://www.1koku.com/future-tasks/faq)
①教職員の多忙による活動の衰退
②資金不足による運動の低下
③活動経験や指導経験が蓄積されない
④オリンピックという大きな目標がない中での活動の難しさ
長野国際親善クラブでは、東京オリンピックを見据え、
「一校一国運動」をさらに発展させていきたいというコンセプトのもと、
12月16日に信州大学教育学部にて、「一校一国運動 事例発表会 in Nagano」開催するとのことです。
(参考 https://www.facebook.com/events/885369114993275/)
私は、長野国際親善クラブの活動には直接関わっていませんが、
こういった活動や企画はとても大切だと思っています。
私が個人的に考えていることは、
東京2020でも「一校一国運動」を展開するならば、
私たちのような小学生・中学生の時に実際に運動にかかわっている人間でネットワークを組み、
情報交換をして当時の運動をまとめることで、
東京の子どもたちが実際に運動する際に子どもたちの立場や視点から、
「こういうことが大変だった」「こういう風に考えればわかりやすい」「学校単位でまとまってやっていくにはどうしたらいいか?」など、
さまざまな事柄を経験として伝えることが出来れば素敵なことではないか!と思っています。
「レガシー」という言葉がはやっていますが、
「一校一国運動」というソフト的な取り組みが、
東京versionとなって世界に羽ばたいていくことは、
ひとつの「レガシー」ではないでしょうか?
取り組みとしても「レガシー」となり、子ども個人にとってその経験が「レガシー」となるならば、
こんな素晴らしいことはないと思うのです。
ただ、働き盛りの世代でネットワークを組み、
情報を収集することは並大抵のことではありません。
しかし、「面白い」と思ってくれたり、
「為になる事だから賛同する」と思ってくれる少しの人たちとでも始められたらなとは思っています。
「一校一国運動」
世界情勢や経済には全く関係しないことかもしれませんが、
子どもたちの視座の広がるひとつの「きっかけ」の為に、
骨を折ることも悪いことではないのかな、と思います。
「一校一国運動」については、
さまざまなところで研究やレポートが出されていますのでご紹介します。
■オリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/024/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/07/03/1359320_01.pdf#search='%E9%95%B7%E9%87%8E+%E4%B8%80%E6%A0%A1%E4%B8%80%E5%9B%BD%E9%81%8B%E5%8B%95
■オリンピックの遺産と地域に与えた影響に関する社会学的研究 -長野オリンピック(1998年)を題材として-
http://blog.kanto-gakuen.ac.jp/olympic/files/All.pdf
■一校一国運動を経験して(筑波大学体育系研究員 土屋智美/当時)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/024/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/07/03/1359320_02.pdf
■一校一国運動の先導の役割を果たした小出博治さん
http://weekly-nagano.main.jp/2011/09/21-7.html
20数年前から本格的に活動が始まった「一校一国運動」というものを、
少しでも広く皆さんにお伝えできたとすればよかったです。
また、活動などの近況などは投稿していきたいと思います。